佐宗研将棋部 名工大遠征編

こんばんは。タンスの角に足をぶつけて小指の骨にヒビを入れたpcatです。歩きにくくてしょうがない。

 

さて、ここのところ研究室では将棋や囲碁といったボードゲームが流行っています。カ〇ンだの何だのも流行っているようですが、やはり時代は二人零和有限確定完全情報ゲーム。偶然に左右されているようではゲームとして二流ってそれ一番言われてるからな。

そんなわけで私も昼休みによく将棋を指しているのですが、そんな折に居室に一枚のビラが。

『日本機械学会第6回講演会 AIの未来。キカイの未来』

これは……!Ponanzaといえば平手で佐藤名人を破り、世界にAIの躍進を見せつけた界隈の立役者。そして「お辞儀する姿がかわいい」なんて評判になったPonanzaの手こと電王手。これらの開発者が名工大に来るらしい。

ゆかねば。

ということでKBT君とHGちゃんを誘って講演会に参加。

道中気勢を上げるべくKBT君と携帯で一局指しながら名工大へ。

図は27. ▲7八銀まで   評価値:先手-41(GodwhaleChild 5.0.5+QQR 10億ノード)

初手▲2六歩で居飛車を明示した先手に対し、後手は△3四歩からノーマル四間飛車に構え、対抗形での一局に。先手は玉を天守閣美濃に囲って持久戦の構えを見せつつ、2筋の突破を目論む。後手も飛車を2筋に回して手厚く受け、ネチネチとした中盤のねじりあいへ突入。銀を押したり引いたりしながら右辺を捌きあった末、先に後手の囲いに手がつくも、先手は攻めの拠点が消える。

図は83. ▲6九同銀まで   評価値:先手+382(GodwhaleChild 5.0.5+QQR 10億ノード)

後手が△6九角成と豪快に先手陣を崩しにかかり、▲同銀と応じた所で時間切れ。決着は明日以降に持ち越しと相成りました。

さて、それはさておき講演会のお話。名人を破った将棋ソフトPonanzaと、その手となって電王戦を戦った電王手シリーズの開発者がそろい踏みした公演とあって、聞きごたえがありました。Ponanza開発にあたって、ルールを教え込ず、既存の棋譜を学習させたら自動的にルールに沿った手を指すようになったという話が中々興味深かったです。いつぞやの電王戦で人間側が指した角不成に対してソフト側が王手放置の手を指して反則負けした事件がありましたが、そこらへんが原因なのかな?と思って調べたところ、これはまた違うソフトだったようです。

人と将棋ソフトでは、演算力に加え盤面の経験値が桁違いであるというのも、革新的な話だなと思いました。ソフト側の「歴史」はもはや人間のそれを超えていると考えると、さて人間は何を拠り所にしたものか、と思ってしまいます。

とはいえ、プロ棋士も将棋ソフトを敵手ではなく相棒とみて自らの強化に取り入れているところを見ると、将棋界はうまい共存方法を見つけられたのだなと思います。現代では誰も車と競争しないのと同じように、きっと未来の世代は将棋ソフトと人が勝負しないことに違和感を感じないのでしょうね。

電王手くん、すなわちハード面からの話は、我々のフィールドに幾分近い内容でした。某プロ棋士の頭頂部が映りこんで画像認識がエラー起こした話でさすがに大爆笑。

電王手一二さんが会場の外に設置されていて、ここで名工大将棋部の方とデモ対局が行われました。2つのアームは開発者の方曰く「腕」ではなく「指」らしく、その2本の指を使って駒を成ることもできるようです。駒を間違えたり落としたりすることもなく、精度よく着手していて凄いものだなぁと嘆息。

さて対局の手合いは平手かと思いきやPonanza飛車落ち。中盤で先手が左右の桂馬を一気に跳ねて後手陣に迫った局面がなんとも「ソフトっぽい」感じでした。プロ間で桂馬を早い段階で跳ねて速攻を仕掛けるのが流行った記憶がありますが、それを彷彿とさせる……というよりもこれが源流なんですね。素人目にはどう見ても無理攻めだったのですが、十数手ぐらい進むとあら不思議。Ponanzaの持ち駒に銀が加わっており、左桂とのコンビネーションで後手の飛車を捕獲。えぇ……

正直序盤中盤は駒落ち定石全然知らないし、そもそも棋力が貧弱なのでよくわからなかったです()

途中盤に被さった対局者が画像認識カメラに電映りこんでエラーを起こし、王手がストップするアクシデントがありましたが無事復旧し、百手を超える攻防の末にPonanzaが勝利。このPonanzaでさえ、現在トップレーティングのソフトではないという事実。改めて将棋ソフトの強さを思い知りました。